タイヤの空気圧について:【技術編】

また今日もKです。

前回の【基本編】に続いて今回は技術編と題してタイヤの空気圧について小難しくお話致します。まだ基本編をご覧になっていない場合は基本編から流し見をお願いします(;´Д`)

タイヤの規格

何事もそうですが、工業製品には規格というものがあり、転がる黒い塊ですがタイヤにも規格があります。世界規模で見ると様々な規格がありますが、日本に於いては主に3つ。

  • JATMA(ジャトマ:日本自動車タイヤ協会)
  • ETRTO(エトルト:欧州におけるタイヤとリムの標準規格)
  • TRA(アメリカにおけるタイヤとリムの標準規格)

上記3つがありますが、TRAは4×4に関する規格のため、今回はそっとしておいて、JATMAとETRTOの2つ。さらに、ETRTOには2つの規格に別れています。

  • ETRTO-STD(スタンダード)
  • ETRTO-XL(エキストラ・ロード)

STDはヨーロッパの標準規格。XLは内部構造を強化し、負荷荷重を上げ空気圧も高くすることが出来る規格を言います。XLやRFD(レインフォースド)といった表記があります。

ということで、今回はJATMA/ETRTO-STD/ETRTO-XLの3つのお話を致します。

タイヤはバネ

前回タイヤの仕事で「①支える」とありました。上記タイヤの規格は”支える”に大きく関わり、タイヤ本体の負荷能力を規格しています。

タイヤはタイヤ本体の強度と中に充填してある空気の2つで支えたり緩衝したりします。
そして、前回のお話でラベルシールに記載されてある数値は”下限値”ということをお話しましたが、あくまで最低限のため、タイヤ本体の強度が変わらない以上、空気圧を上げることで負荷能力が上がるワケです。

で、JATMAとETRTOが出てくるのですが、JATMA規格で製造されたタイヤというのはETRTOに比べて強度が強いため、その分空気圧を低く設定することになります。

そして、何度も言うラベルシールは「JATMA」の表記となります。ここ大事です。
それじゃ、サンプルとしてノートで色々なデータを見ていきましょう。
その際に使用するデータシートをエクセルにまとめましたので合わせて見てみて下さい。

ノート e-Power NISMO Sでサンプリング

先回見たノートe-Power NISMO Sで早速確認してみましょう。
このタイヤの数値で重要なのが「195/55R16 87V」の87の部分。いわゆる荷重指数と言いますが、そのタイヤが受け持つ最大の荷重の指数となります。ロードインデックスと言ったりもします。

データシートを見ると87の荷重指数は545kgとあります。ということで、このタイヤの最大荷重は1輪あたり545kgとなります。4輪にして2,180kg。ヨユーじゃん、と思った方はまだ結論が早いです。積載状態で高速旋回した場合、積載荷重以上の荷重がタイヤにかかります。
まぁ、しかし積載量だけでは判断できませんが、2トンもの荷重がノートクラスで出るとは思えないので安全マージンを取っていると思います。
インチアップする際はこのロードインデックスをしっかり確認しないと危険なタイヤ選択となりますのでご注意下さい。

さて、タイヤの最大荷重は分かりましたが、最初にお話したようにタイヤというのは本体と空気で支えているワケです。そこでJATMA、ETRTOが出てくるワケですが、ラベルシールを見るとフロントタイヤが230kPaとなっています。ラベルシールはJATMA表記でしたので、データシートのJATMAを確認すると、、

530kgとなっており、指定空気圧の状態は1輪あたり530kgの荷重を支えることが出来ます。
次に全く同じ195/55R16 87VでETRTO-STDとETRTO-XLのタイヤに交換し、同じ空気圧を充填した場合、負荷荷重がどうなるかを見てみます。

どうでしょうか?
ETRTO-STDについては20kgで、そこそこの誤差ですが、XLを見てみると1輪あたり75kgの誤差が発生しており、4輪で300kgもの負荷荷重が減ってしまいました。

前回でもお話したようにラベルシールに記載されてある数値は「下限値」であり、負荷能力も下限値となっています。
もし、仮に全く同じサイズ・能力のタイヤに全く同じ空気圧を充填してしまうと負荷能力が足りず危険なことが分かります。
このため、JATMA表記の負荷能力を確保しようとする場合、ETRTO規格はJATMAと比べて空気圧を上げて負荷能力を上げる必要があります。
今回の場合、STD=250kPa、XL=280kPaの空気圧を充填しなければ危険、ということになります。

ETRTO-XLって危険じゃん!
という結論に至りそうですが、実際は同サイズであればXLの荷重指数の方が高く設定されてあります。
ヨーロッパを代表するタイヤメーカー、ミシュランのサイズを見てみると「195/55R16 91V」(エナジーセイバー+)となっており、荷重指数が上がっています。これを加味してもう一度荷重能力を見てみると、、

240kPaの空気圧で良いことになります。ホッ。
ですが、ラベルシールより高く入れることには変わりありません。

インチアップしたら?

もう1つ問題があります。
ホイール交換によりインチアップした場合、空気圧の設定はどうしてるでしょうか?結構フィーリングで充填してることが多いかと思います。
折角ここまで勉強してきたので、ついでに考えてみましょう。

ノートNISMO S(HR16)のタイヤサイズと同じ「205/45R17」で色々な銘柄を探していると、丁度BRIDGESTONEのRE-71RがXLでしたので、検証してみます。

BRIDGESTONE RE-71R 205/45R17 88W XL

インチアップの場合も先程と同じように考えます。
標準は指数が87、指定空気圧が230kPa、荷重能力は530kgでした。
そこから上記タイヤサイズに交換した場合、荷重指数が88でしたので、荷重能力530kgを満たす空気圧は、、

270kPaの空気圧を充填すると適正空気圧となります。
今までフィーリングで充填していた方は、もう一度このタイヤ規格を確認してみて適正な空気圧を充填しましょう!!

ところで何を見ればいい?

ここまで色々なお話をしましたが、マイカーのタイヤがJATMAなのか、ETRTO-STDなのか、ETRTO-XLなのか、どうやって判断するのでしょうか?
タイヤのことなのでもちろんタイヤを見てみましょう。

JATMA

JATMAは基本的に規格表示がありません。
以下のETRTO規格の表示が無ければJATMA規格と言うこととなります。

ETRTO-STD

ETRTO規格の見分け方は下の写真のように「E●」のEマークがついているとETRTO規格となります。

ETRTO-XL

エクストラロード又はレインフォースドはEマークとXLやEXTRA LOAD、RFDの刻印があることとなります。

このように棲み分けされています。

注意!!

外国車、海外生産車のラベルシールは場合によりETRTO表示になっている事があります。今回の記事作成時に現行車分くらいはどうなっているか、を確認した方が良かったでしょうが、年度末のため難しく、調査することが出来ませんでした・・・

まとめ

なかなか難しい内容かもしれませんが、あまり自動車屋でも聞き慣れない内容かと思います。
記事を書いてると、ETRTO規格がボロいから空気圧を入れなければならない、ように見えますがそうではなく、ラベル表示とタイヤ規格の誤差のためユーザー側の空気圧に対する意識の問題と思います。(というか、JATMAが世界的にみて特異なだけ)

最近多いアジアンタイヤはETRTO規格となっており、国産メーカーも今はグローバル化でETRTO規格で製造している銘柄、サイズが増えてきているため、今履いているタイヤやこれから購入するタイヤ、もう1度よく確認し、充填する空気圧が「下限値」を下回らないように”適正空気圧を充填しましょう!

以上、タイヤの空気圧について:【技術編】でした。